007は二度死ぬ
東京オリンピックで知名度を上げた日本という国を舞台にしようぜという企画になったんだろうか。それとも007人気が異常に高い日本というマーケットにスポットをあてたのか。それとも一定の確率であるオリエンタルムードへの憧憬で前々から企画リストにあったのか。なぜ日本を舞台に選んだのかは判らないが、50年から昔の日本の風情を知るには格好の映画だ……とはとても思えない。
色んなアイデアを出し合って「お!それイイねえ!」とか言って採用したのを無理矢理繋げたという気がしてならない。
タイトルにもなっている死んだフリ作戦からして、たいして意味があるとは思えない。
日本なんだからスモーは欠かせないやねと、なぜか待ち合わせ場所が相撲をやっている所。国技館とも思えないがちょっとショボい風情だ。それとも実際に当時の国技館はああだったのか。そこのとこはチョイと判りかねる。これがスペインが舞台だとやっぱり闘牛場になるんでしょうな。
その国以外の人が観ても、この位置関係はおかしいで!とか言うのは大して気にはならないから、映画作りというのはまあそんなもんなんでしょうな。
神戸港での大乱闘シークエンスも、およそ大資本の007映画とも思えないショボさ爆発をしてしまっているのではなかろうか。あれは何がそうさせているんだろう。敵雑魚が単なる
後半の秘密基地の巨大セットに経費をかけ過ぎたしわ寄せだろうか。
さてボンドガールに話を移そう。
本作には二人登場する。一人目は若林英子という人で、この人が65%くらい活躍するが、途中で殉職してしまう。wikipedia等を読み進めていると、悲劇のボンドガールという役柄は伝統的にあるそうだ。つまり帽子投げや「ボンド、ジェームス・ボンド」や、好みの酒に関する蘊蓄なんかと同じということだ。
この若林英子という人は美人というよりもファニーフェイスの部類に入る人だと感じるが、当時よほど活躍されたんだろうかと気になる所である。
二人目は浜美枝で、この人は名前は知っている。だがこの人の出演作は観た記憶が無いので初見に近いと言えましょう。これが若尾文子あたりだとぐっと親近感が沸くんだけどね。
こんなことをいちいち
»»鑑賞日»»2019/01/09
推察が当たっていたり外れていたりしている。
●国技館は本物。旧蔵前国技館という施設らしい。
●本物の横綱が出演している。
●この作品には原作があり、ボンドが日本で活躍するという大前提がある。が、ストーリーはかなり改変されている。但し原作者のイアン・フレミングは日本文化に並々ならぬ感心をもっており、忍者や結婚式の描写が詳しいという部分を尊重してかなりの時間を割いているそうな。
だからほとんど意味の無いものになっているんですな。
原作での007号はもっと数奇な運命に翻弄されることになっており、キッシーとの間に子供が出来るも、それを捨ててロシアに行ってしまう設定だそうな。
●もっと奇天烈な日本風俗の描写になりかけていたが、丹波哲郎や浜美枝がだいぶん指摘したそうだ。
若林英子の名前は、「えいこ」ではなく「あきこ」と読むそうな。この作品の以前にかなりの映画に出演している。日本よりも海外にファンが多いそうで、出演作の「キングコング対ゴジラ」を観た制作者側から直々に指名があったということだ。
浜美枝は、クレイジー映画の常連マドンナとして有名だそうな。ん〜、そう言えばクレイジー映画は観たことないんだよな。
同じく「キングコング対ゴジラ」で見初められたとのこと。
●原題:YOU ONLY LIVE TWICE
●制作年:1967
●上映時間:117min
●監督:ルイス・ギルバート
●キャスト:ショーン・コネリー/若林英子/浜美枝/丹波哲郎
●お薦め度:---