ヨーロッパほぼ一周食い心棒の旅#46-1 アポローニャ

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ギリシャ第36日目 6月24日(土)前編

さよならイタリアーノ

シフノス島・アポローニャ

今日も今日とてパン買いにアルティモナへの散歩から1日が始まった。風に書くと、こういうことから1日の始まりを迎えられるとは何と幸せなのでしょう。帰ってくるとイタリアーノたちは昨日と同じらしい朝食を食べていた。別に他人様の食事内容を詮索するつもりはないが、なぜか気になってしまう。我々の今日のパンはゴマ付きのバゲット風超ロングバージョン。彼らとしどろもどろに会話しながら食べると、キンチョーしてしまいノドにつっかえそうだったが、やはり味はうまかった。

彼らは今日ローマに帰るそうで、月曜日から仕事だという至極真っ当な人たちだった。「そりゃあお気の毒様」と言いたかったけど、例によってそんな気の利いた言葉の1つも出る筈も無く「あー」とか「フーム」とかと頷くのみだった。
彼氏のほうは今まで寡黙な青年だったのに、突然その殻を破りシニョール・ジョーゼツへと変貌した。

・日本の人口は?
・広島と大阪は近いの?
・ギリシャ料理はどこに行っても同じ味だけど、イタリア料理は地方によって全然違うんだ!
・サルディーニャ島はやっぱり6月だよ!
・次はどこ行くの?

などなど、次々と質問を繰り出してくる。
英語をあんまり喋れないから寡黙なのかと思っていたけど、全然そんなことはなかった。日本の人口、1億2千万を説明するのさえ苦労する我々なんぞとは比べ物にならない達者な英語力に感じる。しかし結構な確率で人口を訊かれるが、そんなことに興味があるのだろうか。それとも話題が無いので訊いているだけなのだろうか。これからは少なくとも日本と大阪と小豆島の人口を英語で言えるようにしておかなければいけない。その前に人口数も調べんとアカンけどな。

FOTO SIFNOS に行くと「今プリントしてるんだ。あと5分そこに座って待っといてくれ」とジュースを1杯出してくれた。
10分後、超特大に焼いたものを半分に切ってくれた。息詰るキンチョー感、出来上がりを見ると、どれもこれもトビ気味であった。
「ASA400はグリースにはキツい。ASA100にしなさい」
とご教示頂いた。
あー哀しい。がっくりだ。おまけに4600Δrもしてしまった。これじゃあ日本でベタ焼きしたほうが安かったのではないのかーと後悔してしまうのであったが、性懲りも無く今度は白黒フィルムをベタ焼き出来ますかと訊いてみたら、ベタ焼きが理解できない(とうよりも説明ができていない)ようで、現像だけを頼んで FOTO SIFNOS を後にした。今となってはどうでもいいことだけど、ここで初めてプリントも出来るし白黒も出来るという店にぶつかったのである。
買いもんを済ませて帰ってくると、シニョリーナが庭の椅子に座っている。そろそろ出発のようだ。言うことが無いので暑い暑いと言いつつ錠をあけた。ドアを開けたまま写真を見て悲観に暮れていると、シニョールも出て来てザックを担ぎだしたので、表に出てバイバイと挨拶をした。
さらに写真を眺め悲観に追い打ちをかけていると、宿のおじさんおばさんが掃除に入って来た。
クレタ島のレース編みの村で撮った人々の写真を見て、これは君の家族?と訊いてくる。
「ノー、ノー、クリティ」
と否定すると
「オー、クリティ、クリティ!」
と写真を鷲掴みにして明るい所へ持って行き、エラいはしゃぎようである。あんなしょうもない写真を見て喜んでくれるとは、なんと罪の無い人達であろうか、神様ありがとう。

シフノス島アポローニャの宿からの眺めのスケッチ

バイバイガール亭の庭からの眺め

本日のひるめしはスパゲティとじゃがいもレモンパセリとパン。
あ、そうそう、拙いながらも一般的なイタリア人事情を訊きだしたところによると、シニョリーナは毎日パスタを食べ、シニョールは週に4〜5回しか食べないということだ。4回でも多いとは思うが、日本なら米を喰うのと同じとすれば普通なことか。でもパスタには味がついてるから、白飯というよりも炊き込みごはんとか雑炊とかと同列とすればチト食い過ぎかもしれん…などと考察しつつ食べたスパゲティはうまかった。やはり味の決め手はトマトにありと推察した。
デザートにはパン屋の下の店で買っておいたお菓子がある。
白いのと茶色いのに砂糖がパラパラとついている。近くで見てみるとあんこのカタマリのようだが、ひとくち齧ってみると最初はどうってことない味だが、噛むほどにじわ〜とうまさが広がってくる。
「これはー、はじめての体験、不思議な味ですねー。単純にうまいと言うだけでは片付かない味です」
と、写真のことなど忘れて、今日もまんぷくおひるねタイムへと突入するのであった。

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